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「くつやのマルチン」

 今回は、ロシアの文豪トルストイ原作「くつやのマルチン」をご紹介します。

 マルチンは町の通りが見える地下室で毎日くつを作っています。しかしマルチンは孤独でした。奥さんがなくなり、たった一人の息子まで病気でなくなったからです。生きがいを失ったマルチンは、しばらく手にしていなかった聖書を読んでみることにしました。仕事をし、夜は聖書を読んでお祈りをする毎日が続きました。そんなある日、誰かが「マルチン」と呼ぶのです。それはイエス様の声でした。「あした、通りを見ていなさい。わたしはおまえのところに行くことにするから。」

 次の日マルチンは仕事をしながら何度も窓の外を見ました。「本当にイエス様は来てくださるんだろうか…」 北国の12月、寒い日に雪かきをしている老人がいました。「おじいさん、中に入ってお茶でも飲みませんか。」十分に暖まったおじいさんはお礼を言って、また戻っていきました。

 その日は冷たい風が吹く日でした。しばらくすると、赤ちゃんを抱いた女性がうずくまっているのが見えます。この女性は穴のあいたくつをはき、ボロボロの服を着て、赤ちゃんをくるむ毛布も持っていませんでした。マルチンは声をかけました。「さあ家の中にお入りなさい。」女性は寒さと空腹のため、お乳もでないようです。マルチンはパンと温かいシチューを用意し、古いコートをあげました。女性は「なんとお礼を言ったらいいか…」と言って帰っていきました。

 その後おばあさんからリンゴを盗んだ空腹の少年に出会い、代わりにお金を払い、少年を諭しました。夜も更けマルチンは今日あったでき事を思い出していました。

 「イエス様はおいでにならなかったなあ」すると、どこからか声がしました。「マルチンよ。わたしがわからなかったのか。わたしだよ。あれはみんなわたしだったのだ。」

 マルチンは思い起こしました。雪かきの老人、寒さにふるえる貧しい母子、リンゴを盗んだ少年。「イエス様は確かにおいでくださった!」マルチンの心は喜びでいっぱいになりました。

 「あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、それも最も小さい者たちの一人にしたことは、わたしにしたのです。」(マタイ25:40)


#(2019年 通巻357号)

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