毎週月曜日の夜、(BS日本・こころの歌)という番組が放送されていますが、特に懐かしい唱歌が大好きで番組の中に出て来る宣伝映像を筆者は好感を持って見ています。用いられている映像では大正時代末期から昭和初期に活躍し26歳という若さで世を去った薄幸の童謡詩人、金子みすゞの詩が背景に流され、シルクロードの景色の中を静かに歩む駱駝の群れ、屈託のない子供たちの輝く瞳が美しく映し出されています。みすゞの詩集“ほしと たんぽぽ”の中に『あおい おそらの そこ ふかく、うみの こいしの そのように、 よるが くるまで しずんでる、ひるの おほしは めに みえぬ、 みえぬけれども あるんだよ、みえぬ ものでも あるんだよ』という詩があります。この詩を自分の心の中ででも、口に出してみてもいい、ホッとする何か癒しの力を感じるのは何故でしょうか。目に見えるものだけがすべてのような世界で日々の生活を忙殺され、職場や人間関係で疲れた時、自然の営みや、たった一言のことばや詩がどれ程人の心を平安にしてくれることだろうと改めて思う日があります。目には見えぬけれども存在するものは・・・例えば、風・音・匂い・そして人の心。聖書の中に疑い深く心を頑なにしたトマスという弟子の姿が記されています。彼は復活されたイエスを信じることができず、イエスの十字架上の傷跡とよみがえった肉体を見るまでは信じることができないと言いました。トマスの思いは自然なことでした。けれども復活されたイエスはトマスに姿を現して言います。
『あなたは、わたしを見たから信じたのですか。見ずに信じる者は幸いです。』 ヨハネの福音書 20:29
このことばは、イエスを肉眼で見ることはできないすべての人々に語り掛けていますが、今日でも相手との交渉ごとの多いビジネス局面において目には見えないものも大切にして(たとえばお互いの心や完全な正義を持つ存在・・・神)互いに信頼することが問題解決にとても大切であることを教えているような気がします。目に見えるものには魅力があり用い方で人生を豊かで良いものとしますが、目に見えないものにこそ朽ちることのない本当の人生の価値や癒しと慰めがあることを聖書は神のことばで語りかけているのです。
(2015年 通巻194号)
תגובות