今週の聖書の言葉をまず紹介いたします。
「欺きのはかりは主に忌みきらわれる。正しいおもりは主に喜ばれる」(箴言11:1)
このような言葉が聖書にあることに驚かれる方もおられると思います。聖書には宗教的なテーマばかりが書かれているわけではありません。神様はお造りになったこの世界の全てのことに、関心があるのです。営業などの経済活動が公平にされているかどうかということにも神様は注目しています。
この箇所の背景には、当時の市場で食品を売っている商人が、はかりに置く石の重さをごまかし、例えば1kgあたりの値段で950gの食品を売っていた状況がありました。このことは、驚くほど、神様の怒りをかっています。「忌みきらわれる」とは非常に強い言葉です。どうして神様はこんなに怒るのでしょうか。
商人と客の間には信頼関係が必要です。客は買う前に商品の重さを確認することができません。商人の言葉に頼るしかないのです。その言葉に頼ることが出来ないと、信頼の代わりに猜疑心が発生し、営業が困難になってしまいます。結局、社会を壊すことに至ります。それは、健全な社会の関係が事実に基づいているからです。
現代社会でも、信頼を壊す、猜疑心を起こさせる行動は多く見られます。自分の間違いを他人のせいにすることや自分のミスを隠すこと、陰口をたたいたりすることなどです。このことは、職場での信頼関係を壊すことにつながり、組織を全体的に弱めます。
最近のオリンパス巨額損失隠し事件も、同様です。スケールは違いますが、元にある問題は同じです。「飛ばし」という方法を用いて、事実を隠し、株主を始め、世間をだまそうとしました。この事件がもたらした結果は恐ろしいものです。既に、何人かが逮捕され、幾つかの会社が倒産しました。仕事を失った人やその家族は大変な境遇にいるでしょう。
このように考えると、「欺きのはかりは主に忌みきらわれる」理由が分かり、私達の幸福のために神様が寄せてくださる関心を味わうことができます。
(2013年1月27日発行)
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