top of page
検索

「カスハラ」


 先日、静内・新冠方面へドライブに出かけました。緑豊かで起伏に富んだ大地と青空、広い牧場、ゆったりとたたずむ美しい馬たち、母馬にぴったり寄り添う仔馬たち、運転は家族に任せて車窓の景色を楽しみました。


 道路のあちこちに「馬の撮影はご遠慮ください」を始め「飲食禁止区域」などの看板が立ち、初めは少し厳しい印象を受けたのですが、道の駅にあったパンフレットを読んで納得がいきました。それは「競走馬のふるさと案内所」が発行したもので、タイトルは「牧場見学のルール&マナー」。まず大きな文字で「馬産地の軽種馬(けいしゅば)牧場は観光牧場ではありません」とあり、競走馬の価値や性質、牧場の暮らしについての詳しい説明と、観光客、競馬ファンに向けての数々の注意、お願いが具体的に理由を添えて書かれていました。


 少し前「お客様は神様です」ということばが流行りました。物やサービスを買う立場の方が、売る立場よりも強い、という現実をよく表していることばだと思います。買う立場にある人がそれだけで自分がえらくなったように勘違いして理不尽な要求をする、売る立場の方もお客や仕事を失うことを恐れてひたすら我慢するという構図が、昔からいろいろな場面で繰り広げられて来ました。今では「カスハラ」と呼ばれているこの問題が、先日あるテレビ番組で取り上げられていました。その中で一つの実例が心に残りました。ある会社では顧客からのクレームがとても多く、その処理に社員たちは時間も心も奪われ、疲れ果ててモチベーションも下がり、結果的に残業がとても多かったそうです。状況を打開するため社長さんは海外研修に行き、そこで学んだことは、まず自分たちのルールを顧客にしっかり伝える、ということでした。帰国後早速そのことを徹底した結果、クレームが激減し、社員のモチベーションが上がって残業が0になったということでした。


 「競馬のふるさと案内所」のしていることはまさにこれだと思いました。厳しいことを言うと観光客や競馬ファンが減ってしまうのではないか、という心配はあったと思いますが、恐れずに自分たちの牧場のことや仕事のことを丁寧に説明し、その上で協力を依頼するその態度は、自分たちの仕事に対する誇りと、地場産業を育てる責任と気概の表れであったことを知ることができました。


 主を恐れることは知識の初め。(箴言1:7)

 人を恐れると罠にかかる。しかし、主に信頼する者は高い所にかくまわれる。(箴言29:25)

 

 本当に恐れるべき相手は「お客様」ではありません。恐れつつ、信頼できるお方を教えてくれる聖書を、あなたも手にとって読んでみませんか。 

        

(2024年  通巻475号)

閲覧数:31回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comentarios


bottom of page