職場で苦情の電話を受けるのは憂鬱な仕事です。しかし、苦情の内容によっては、サービスや製品を改善するヒントになることもあることから、苦情対応をシステム化して、サービスや製品の改善につなげる仕組みを取り入れている企業もあるようです。
先日、ある苦情の電話を受けました。その内容を詳しくお話することはできませんが、電話は延々と2時間にわたり、内容としてはこちらの落ち度も多少はあるものの、ほとんど「因縁をつけられる」ことに近いものでした。このような苦情をクレームと言って一般的な苦情と区別することもあるようです。
苦情がクレームと化する原因はさまざまですが、時に苦情を寄せる側に問題がある場合があります。生活への不満、孤独感、自分の境遇に対する絶望感などが他者への攻撃となって現れる場合です。
先日受けた苦情もそのような背景をうかがわせるものでした。自分の境遇を嘆き、他者を恨み、社会を恨む激しい言葉が続きました。
不謹慎かも知れませんが、私はその言葉を聞きながら、別の人のことを考えていました。「先天性四肢欠損症」という生まれながら両手両足のないハンディキャップを抱えながら、世界中で喜びと希望のメッセージを伝え続けているニック・ブイチチという人物のことです。
彼は、8歳のときに絶望のあまり自殺を企てます。しかし、両親の愛により自殺を思いとどまり、やがて「人と違う」ことの中に自分の使命を見出していきます。「神は僕に偉大な使命をくださった」との言葉どおり、現在、彼は世界中で多くの人々の人生に影響を与え続けています。
彼の秘訣は何でしょうか。彼がある講演で次の聖書の言葉を引用しました。「主(神)を待ち望む者は新しく力を得、鷲のように翼をかって上ることができる。」(イザヤ40:31)
彼は「時々人生には、あなたが転んだ時、もう起きられないと感じることがあります」と語りつつ、神によって「もう一度起き上がる勇気を持つことができます」とも語ります。
「私は自分の人生を楽しんでいます。私は幸せです」と語るニック・ブイチチ。私たちが望みを置くものは何でしょうか。
(2012年 通巻 49号)
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