このホープ・フォー・ビジネスのパンフレットは、先月100号目を迎えました。このパンフレットの作成には複数の執筆者が携わっています。その中の一人はイギリス人の宣教師です。
一時期、その宣教師はイギリスに帰国していました。その時はメールで原稿を送っていただき、編集作業をこちらで行いました。互いの距離は非常に離れているのに、日本にいるときと同じように作業ができ、改めて技術の進歩に感謝しました。
通信技術は確かに互いの距離を縮めます。しかし、距離が縮まることと、互いに理解しあえることは違います。例えば、同じ日本語を話し、最も近い間柄であるはずの親子兄弟であっても、理解しあえないことがあります。職場で多くの時間を共有している同僚、上司、部下の間であってもそのようなことがあるかも知れません。
身近な人々との間でさえ難しさがあるのですから、グローバル化の必要性が叫ばれる今日、言葉や文化、生活習慣の違いを越えて外国の人々と向き合い、協力し合うことの難しさを思います。
そう考える時、先ほどの宣教師との協力は貴重と思えるのです。私たちの間には言葉の壁はありますが、互いに協力して、日本語のパンフレットを発行し、いつもお互いの仕事に心から感謝しています。
聖書には元々、世界は一つであったこと、人々の高慢さゆえに人々は世界に散らされたことが書かれています。「全地は一つのことば、一つの話しことばであった。」(創世記1:11)
今日においても、高慢さが、他者を理解し、協力する際の妨げになることがあります。とすると、謙遜さが人々を再び結びつける鍵になるのではないでしょうか。グローバル化というと、語学面などの人材育成に目が行きがちですが、もう一つのヒントがここにあるのではないでしょうか。
「互いに一つ心になり、高ぶった思いを持たず、かえって身分の低い者に順応しなさい。自分こそ知者だなどと思ってはいけません」(ローマ12:16)
(2013年 通巻103号)
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