組織の中で働く人は誰でも、先に立って導く役割の大切さと同時に、人に委ねることの難しさをご存じなのではないでしょうか。
聖書には、困難な旅のことが記録されています。紀元前1400年ごろ、奴隷として虐げられていたユダヤ人が、モーセという指導者に率いられ、当時のエジプトを脱出する出来事です。
聖書には壮年男子だけで60万人とありますので、婦女子を含めると実に200万人もの大集団であったとも言われます。
このような大集団を率いたモーセはどのような人物だったのでしょうか。聖書はモーセについて「地上のだれにもまさって非常に謙遜であった」(民数記12:03)と記録しています。
老若男女の大集団の旅ですから、食料、福祉、もめ事など実に多くの問題がモーセに降りかかったことでしょう。実際に聖書にはさまざまな問題がモーセのところに持ち込まれた様子が記録されています。
そこでしゅうとのイテロがモーセに次の助言をしました。
「あなたは・・・、民全体の中から、神を恐れる、力のある人々、不正の利を憎む誠実な人々を見つけ出し、千人の長、百人の長、五十人の長、十人の長として、民の上に立てなければなりません。」(出エジプト18:21)
モーセは直ちに助言を受け入れ、小さな事件は、立てられたリーダーがさばき、大きな事柄のみモーセがさばくようにしました。
ここに、モーセの謙遜さを見ることができます。謙遜の反対は高慢です。高慢は、他人の助言を受け入れたり、他人に権限を委ねたりすることを困難にします。大集団を率いるリーダーでありながらも、モーセは謙遜さを失わず、他人の助言を受け入れ、改革を実行しました。これにより、モーセは大切な事柄により専念できるようになりました。
その他のポイントは次号で触れていきたいと思います。
(2013年2月17日発行)
Comments