職場の人間関係の中で上司と部下の関係はとても大切です。組織としての仕事の成果に直結するからです。
しかし、互いに人間同士、いつも関係がうまくいくとは限りません。「最近、部下がよそよそしい」「陰で自分の悪口を言っているのではないか・・・」上司やリーダーであれば、誰でも一度はこんな思いを持ったことがあるのではないでしょうか。
そこで、一念発起していろいろな啓発本を読み、理想の上司を目指すあなた。それはとても大切なことだと思いますが、どんなに努力したところで、職場の空気を読むと、どうしても消えない先ほどの疑念・・。何故だろうと自分を責めるでしょうか。それとも、自分の指導についてこない部下に問題ありとするでしょうか。
でもよく考えてみてください。自分がチームの一員だったとき、チームのうちには、必ず一人はそりの合わない同僚がいたはず。多くの部下を率いるリーダーも、性格や価値観の違う部下全員とうまくいくわけではありません。聖書にはこのような言葉があります。
「人の語ることばにいちいち心を留めてはならない。あなたのしもべがあなたをのろうのを聞かないためだ。あなた自身も他人を何度ものろったことを知っているからだ。」(伝道者の書7:21、22)
現代で言えば、「しもべ」とは部下のことを、「あなた」とは上司のことを指します。ここでは、神から離れ正しいことが分からなくなっている人の口からは悪口が噴出するものなので、人の言うことをいちいち気にしないように勧められています。「あなた自身も他人を何度ものろったことを知っているからだ。」自分は上司の悪口を言ったことはないと胸を張れる人は果たしているのでしょうか。
それであれば、上司である自分も悪口を言われても仕方ないと思っていた方が気が楽です。理想の上司を目指すことは大切なことですが、全ての部下に信頼される上司を目指しても無理な話。無理なことを目指すよりは、別の分野に力を傾注した方がよい効果を生むのではないでしょうか。
(2015年 通巻211号)
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