先の全日本総合女子バスケットで、トヨタ自動車が初優勝しました。トヨタには失礼かも知れませんが、予期せぬ勝利でした。決勝の相手JXは、Wリーグでの調子が最高で、22戦無敗で決勝に至りました。しかも5連覇を狙っていました。
トヨタの勝利の土台は栗原選手と矢野選手の3点シュートでした。15本も決めて、トヨタが得た90点の半分を挙げました。結果的にトヨタは90-69で勝ち、Wリーグで3年連続JXの下の2位に甘んじていたトヨタの選手は悲願の勝利に涙を流しました。
トヨタがライバルに勝利できたことの背景には興味深い話があります。事実を語ることの力に関する話です。
試合で活躍した矢野は日頃からチームのために大事な役割を果たしていました。他のチームで2回全日本総合優勝をした経験のある矢野は決勝後「皆勝ちたいと口では言いながら、逃げているところがあった」と話しました。このような強い言葉が会見でいきなり出たとは思えません。勝利を得るにはいかに努力が必要であるかを知っていた矢野はこのことをチームに話し、叱咤激励してきたはずです。
聖書には、次の言葉があります。「人を責める者は、へつらいを言う者より後に、恵みを得る。」(箴言28:23)
初めてチームメートを責めるのは勇気が要ったことでしょう。全員が喜んでそれを聞いた訳ではなかったと思います。しかし、事実が語られたおかげで、チーム全員が優勝する恵みを得ました。
事実であれば、人を責めることは時には大事なことなのです。キリスト教の教えの中で、人間一人ひとりは「罪人」(神に対して、他の人に対して、悪い状態にあるので、このままだと全能の神様の正しい裁きを必ず受ける者という意味)であるという教えは受け入れがたいと思います。初めてこの事実を聞くと、自分が責められていると誰もが感じます。
正しく他人を責めることは難しいことです。一方、責められたことを受け入れることはさらに難しいと思います。しかし、どちらも勇気を出して行えば、恵みを得るという約束が聖書の中にあります。
(2013年 通巻 88号)
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