先日、「しもべの心を持つ経営者」というテーマの講演会を英国で最も長い歴史を持つ投資会社で250人のスタッフを統括し22兆7千億円にものぼる運用資産の管理を担う最高経営責任者(CEO)P氏から聞く機会がありました。
キリスト者である氏自身がビジネス現場での体験を通して実践してきたことをとても分かり易く語られました。(しもべ)とは一般的に主従関係においては仕える者という意味なのでテーマは主(経営者)従(社員)の関係が逆転した心を持つ経営者という意味を持ちます。このような経営理論は「サーバント・リーダーシップ」として欧米を中心に日本でも著書があり知られているとのことでした。
リーダーシップと聞いて多くのビジネスマンはぐいぐい引っ張っていく(俺についてこい的な)イメージで捉えることが多いように思われますがそうではなく、リーダーとは常に部下を共に働く協力者として思いやり、部下の話をよく聞いて学ぶ姿勢が求められるのだと語られました。また氏は家庭人として緊急な要件がない限り率先して家族団欒の時間に帰宅するようにして、「君たちも早く帰りなさい」と家族の時間を大切にするように勧めているとのことです。理想かも知れません・・しかし上に立つ者が勇気をもって「しもべの心を持つ経営者」を実践する時、明るい社会や家庭が築かれて行きます。
締め括りに「理不尽な上司がいる場合どうしたらよいでしょうか」という質問に氏は答えました「自分にとって辛い上司でも国の政治家であっても自分が選んだのではなく神様が選んで下さったのだということ、むしろその人のために祈らなければならない」と語られました。
聖書の中でイエス・キリストは弟子たちのお互いの中で誰が一番偉いだろうかという議論に対して、「あなたがたの間で一番偉い人は一番年の若い者のようになりなさい。また、治める人は仕える人のようでありなさい。」(ルカの福音書22章26節)と教えられました。キリストは、人を導く者こそ、仕えるこころを持つようにと弟子たちにアドバイスを送りました。「本当の仕えるこころ」をこのキリストのことばから学んでみませんか。
(2016年 通巻253号)
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