ノーベル経済学賞を受賞し、その半生が米映画「ビューティフル・マインド」のモデルともなった米国の数学者ジョン・ナッシュ氏が先日、事故で亡くなったと報道されました。
ナッシュ氏は、数学界の難問と言われる「リーマン予想」の解明に取り組んだことでも有名です。この難問の解決は、今では宇宙のあらゆる現象を統一して説明できる、究極の物理法則を解明する鍵となるとも言われ、世界中で多くの学者がこの問題に挑んでいるようです。
それでは、身近なところで、私たちの生き方や考え方などを統一して指し示す法則はあるのでしょうか。かつてイエス・キリストは、聖書の中で大切な戒めは何ですか?という質問を受けた時に、次のように答えました。
「『心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。』これがたいせつな第一の戒めです。『あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ』という第二の戒めも、それと同じようにたいせつです。律法全体と預言者(聖書)とが、この二つの戒めにかかっているのです。」(マタイ22:37-40)
聖書にはさまざまな戒めがありますが、聖書全体を通して最も大切なことは「神と人を愛すること」であると教えました。何故なのでしょうか。今日は第二の戒めである「人を愛すること」について考えます。
例えば聖書には、何々をしてはいけないという戒めがあります。人の悪口、偽証、盗むこと、殺すこと・・・。一方で積極的な勧めもあります。謙遜であること、人に仕えること、赦すこと、与えること・・・。一見して相互につながりがないように思える、さまざまな戒めですが、相手を自分自身のように愛し、大切にするのであれば、実はこれらの戒めは全て実行できるのです。一つひとつ当てはめて考えると分かりやすいかも知れません。
「人を愛する」というシンプルな戒めは、人の行動を導くのに十分な内容を含んでいる、言い換えると私たちの人生を導く法則とも言えるのではないでしょうか。ところが、これだけでは十分ではありません。第一の戒めである「神を愛すること」については別の機会に取り上げます。
(2015年 通巻195号)
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