今年もクリスマスが近づいてきました。降誕祭(クリスマス)の前の約4週間を、待降節(アドヴェント)と言います。「キリストの降誕を待つ季節」という意味です。年末の慌ただしさの中で、正月休みが待ち遠しいという気持ちになるかもしれません。忘年会シーズンですので、楽しい宴会を待つ方もいらっしゃるでしょうか。
新約聖書「ルカの福音書」の初めには、2人の男の子の誕生のことが、書かれています。クリスマスの主人公イエスと、そのさきがけとなるヨハネの2人です。御使い(天使)が処女マリアのところに現れ、イエスの妊娠を告げます。ひどく戸惑うマリアに対し、天使は言います。「見なさい。あなたの親類のエリサベツ、あの人もあの年になって男の子を宿しています。不妊と言われていた人なのに、今はもう六か月です。」(ルカの福音書1章36節)
その半年前、同じ天使がエリサベツの夫・ザカリヤに現れて、「あなたの妻エリサベツは、あなたに男の子を産みます。その名をヨハネとつけなさい。」(同1章13節)と告げていました。かつて待ち望んでいた子どもの誕生を、あきらめていたのでしょうか。高齢のザカリヤは天使の言葉を信じることができず、ヨハネが生まれるまで、口がきけなくなりました。
少子高齢社会と言われて久しいですが、初産年齢の高齢化も指摘されています。不妊治療の技術が進み、閉経を過ぎてからも人工授精で出産できるそうです。大変な驚きです。もちろんザカリヤの妻エリサベツの妊娠は、奇跡でした。この高齢の夫婦はどんな思いで、男の子の誕生を待ったのでしょうか。
欲しい情報が、インターネットですぐ手に入る時代になりました。スピードと効率が求められ、待つということが難しい時代と言えるかもしれません。それでも約10ヶ月間、子どもの誕生を待つのは、昔も今も変わりません。人々は救い主の登場を長い間、待ち望んでいました。新約聖書の最後で、救い主イエスは「しかり、わたしはすぐに来る。」と言っています。この世の終わりに、再びキリストが来られる、と書かれています。このアドヴェントに、「来てください」とキリストを待ち望みたいと思います。クリスマスはぜひ、キリスト教会へお越しください。
(2017年 通巻298号)
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