今から40数年も前のことですが、当時大学生だった私の兄に先生から暑中見舞いのハガキが届きました。札幌にしては、非常に暑い夏だったと記憶しています。
先生からのハガキを、「良い内容だから」と、当時教師の卵だった兄がその一部を見せてくれました。そこには下記のような言葉が書かれていました。
「暑いね。じっとしていても暑い。動いていても暑い。だったら動こう。」
非常にシンプルな言葉の裏には先生の熱い励ましの心が感じられました。
(今の時代なら、「熱中症になるでしょう?!」という批判の声も聞こえてきそうですね。)
先生の言葉には、暑いからといって短い大学生活をだらだらと無為に過ごすことなく、何か意味のあることを少しづつでもやろうよ、そういう生き方を教師として次世代に伝えていこうよ、そういうメッセージが込められていたのかもしれません。
聖書には下記のようなメッセージがあります。
「みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。」
(テモテへの手紙第二 4章2節)
この言葉はキリスト教の使徒であったパウロが、弟子のテモテに宛てて書いた手紙の一節です。「みことば」とは聖書の言葉のことで、テモテは若き聖書の教師でした。当時は、人々が健全な教えに耐えられなくなり、耳に心地よい話を好むようなムードが広がりつつある、そんな時代でした。だからこそ「しっかり取り組みなさい、人々に正しいことを伝えなさい」という、師パウロから弟子テモテへの熱い励ましのメッセージがあったのだと思います。2000年の時を超えて師から弟子への熱い思いを感じます。
先生から生徒へ、そして生徒から教師となった若き指導者から次の世代へ・・・。人を励まし、学んだことを正しく伝えていく、その思いは昔も今も連綿と続いているのですね。
(2022年 通巻432号)

コメント