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「権力や能力によらず」


 私の職場には約60人の人員がいます。内向的な私には多すぎると感じられる数で、最初の頃は結構なプレッシャーを感じていました。

 人事管理上の適正人数を知るには、イエス様の弟子の数が参考になると思います。イエス様の弟子のうち、特に中心的な弟子を「使徒」といいますが、その数が12人です。イエス様は寝食や行動を共にして、この12人をじっくりと教えられました。今日のキリスト教の世界的な広がりが、この12人が元になっていることを考えると、人を訓練することがいかに大切かということを教えられます。

 イエス様ですら、訓練する人の範囲を限定されたということですから、まして私のような者には、なおさら相手にできる人数の範囲に注意を払わなければならないと思わされます。

 一人の管理職が、適正に管理できる人数を表すものとして「スパン・オブ・コントロール」という言葉があります。組織のマネジャーが1人で直接管理できる人数のことを指します。一般的には一人の人が管理できる適正人数は5~8人と考えられているようです。

 このことからは、冒頭の60人という数は、一人で管理するには多すぎるということになりますが、この中には8人のリーダーがいます。従って、私が管理すべきなのは、8人ということになり、先ほどの「スパン・オブ・コントロール」の中に収まります。

 私の前任者は「リーダーだけを相手にしていれば良い。」と言っていました。その言葉を聞いた時は少し疑問に思い、最初の頃は一人ひとりを掌握できないことにあせりを感じたこともありましたが、今となっては実に理にかなった引継ぎだったことが分かります。

 加えて、私には次の聖書の言葉が支えになっています。自分の能力を超えたところで働かれる神様に信頼できるという約束は、私に大いに安心感を与えてくれます。

「権力によらず、能力によらず、わたし(神)の霊によって」(ゼカリヤ書4:6)


(2023年 通巻452号)

 

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