私の職場で最近、福祉の仕事に従事する人々を対象としたメンタルヘルスの研修会がありました。内容は「燃え尽き症候群」を予防するためのものでした。
「燃え尽き症候群」とは、「一定の生き方や関心に対して献身的に努力した人が、期待した結果が得られなかった結果感じる徒労感または欲求不満」とあります(Wikipediaより)。この言葉は、福祉や医療、教育の分野でよく聞かれると思っていましたが、どの仕事の分野でも起こりうるもののようです。
研修で印象的な言葉がありました。対人援助サービスを提供する者は、相手方に報酬を求めてはならない。という言葉でした。それは金銭的な報酬というよりは、顧客からの感謝や承認、そして顧客が幸せになることも求めてはならない。ということでした。
顧客の幸せを追求するのが福祉という仕事であるなら、この言葉は、矛盾しているようにも感じます。しかし福祉現場で時折直面する現実は、顧客の誤った選択により、顧客自身の人生が困難になっている現実です。もちろんすべてがそうではありませんが、援助者側の努力が顧客側の行為によって水の泡となるのは時折見られることです。
熱心に取り組んだ仕事から満足感が得られないことは、燃え尽き症候群のリスクとなるようです。これは福祉の仕事に限らず、どのような仕事でもあり得ると思います。仕事の困難さに見合わない報酬や上司からの評価、達成感の無さはストレスを高めます。
確かに聖書にはこのようなことばがあります。「期待が長びくと心は病む。」(箴言13:12)
ではどうすれば良いのでしょう。「何をするにも、人に対してではなく、主に(神様に)対してするように、心からしなさい。」(コロサイ3:23)ということばが聖書にあります。
人への期待よりも、上司や顧客の背後にあって、私たちの仕事を見ておられるお方に対して誠実に仕事に取り組むことが、実は私たち自身を「燃え尽き」から守ってくれることなのかもしれません。
(2016年 通巻254号)
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