先日、東京へ日帰り出張する機会があり、帰りに浜松町の本屋さんへ立ち寄りました。レジの前に「組織の掟」(2016年、新潮新書)という本が山積みにされているのが目に留まり、つい買ってしまいました。人気作家の佐藤優(まさる)さんが外務省時代の経験を基に、組織での具体的な処世訓を書いた本です。
「組織は自分を引き上げてくれる」「上司には決して逆らうな」「デキる部下を見極めよ」「問題人物からは遠ざかる」「斜め上の応援団を作れ」など、一瞬おやっと思える言葉がありましたが、中間管理職として組織の中で揉まれている私にとって、なるほどと納得させられるものがいくつもありました。
以前、佐藤さんのお顔をどこかで見たことがあると思っていましたが、2002年の「鈴木宗男氏事件」に連座した刑事事件(背任・偽計業務妨害罪)で逮捕され、2009年に2年6か月の懲役(執行猶予4年)が確定した方でした。「特捜検察と外務省が本気で私を叩き潰そうと攻めてきた」そうです。
この本の「おわりに」には以下のような文章がありました。
「組織は人間が作り出すものである。キリスト教的な人間観に基づけば、どの人間も原罪を負う。原罪を負った人間の組織が、悪から完全に免れることはできない。外務省には特有の悪があり、検察庁にも特有の悪があるように、その組織にそれぞれの悪がある。
その現実を冷静に認識し、どのようにすれば、悪を少しでも減らすことができるかについて考え、実践するのが知識人の責務であると思う。」(204頁)
大変な知識をお持ちで、月平均300冊以上の本に目を通されているとのこと。佐藤さんは外務省を追われても、知識人として、キリスト教徒として何ができるのか、を日々問うておられると感じました。
そのような知識の源は何なのでしょうか。旧約聖書の箴言1章7節には、「主を恐れることは知識の初めである」とあります。伝道者の書12章13節では「結局のところ、もうすべてが聞かされていることだ。神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである」と結論付けています。皆様もぜひ聖書の知恵に耳を傾けてみてください。
(2016年 通巻241号)
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