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「聞くには早く、語るにはおそい」

 

 「口は禍の元」ということわざがあります。不用意な発言は自分自身に災いを招く結果になるから、言葉は十分に慎むべきだという戒めの言葉です。そのときの感情に任せて、よく考えずに発せられた言葉は、相手を傷つけるばかりでなく、たとえ言ったあとで相手に謝ったとしても、その言葉はもう取り消すことができないので、互いの心の中にしこりが残り、人間関係を悪化させてしまいます。

少し前の私の失敗談ですが、2月の雪が深まった頃、追い打ちをかけるようにさらに雪が降り、家のわずかな排雪スペースにはもうすでにたくさんの雪が積み上がっていたので、雪を捨てるスペースがありませんでした。私は勤務帰りで疲れており、家の前の狭い道路に雪を捨てることにしました。すると隣の家に住む娘さんも同じく除雪していました。彼女はじっと私の行動を見ていましたが、私が雪を捨てているのは自分の家の前で、彼女の家の前ではなかったので、かまわず除雪をしていました。すると彼女は除雪が終わって家に入ってからも、窓から私の行動を見ていました。きっと私が彼女の家の前に雪を捨てたりしないか監視しているのだろう、と私はそのとき思っていました。そして彼女の両親が車で自宅に戻った時に、彼女が外に出てきて両親に何やら話し始めたので、私はきっと彼女が両親に私のことを非難しているのだろうと思い、3人のもとに近づいて「何か文句があるのならはっきり言ってください」と言いました。すると気まずい沈黙があったあと、母親が「いいえ、なんでもありません。それにしても良く雪が降りますね」と笑顔で答えました。私はなんだか拍子抜けしてしまいました。

あとで考えると、隣の人が車で出かけるときに道が狭いために車を出しにくくなることに気づきました。しかし改めて謝るようなことでもなく、今も隣の家族に会うと気まずい感じがしてしまいます。聖書のヤコブの手紙 第1章19節に「だれでも、聞くには早く、語るにはおそく、怒るにはおそいようにしなさい」という言葉があります。言ってしまったことを取り消すことはできません。怒りに任せて話す前に、言われる側の気持ちを考えて、冷静に話すべきだと反省させられた経験でした。


(2017年 通巻277号)

 
 
 

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