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「自分を高くする者は」


今年は戦後70周年の節目の年です。この原稿が発行される3月8日は先の太平洋戦争中で、最も悪名高い作戦の一つである「インパール作戦」が始まった日です。この作戦で、当時の日本軍は連合軍の拠点であるインドのインパールを攻めました。

しかし、現地の地形や補給を無視した無謀な作戦により、多数の兵士の犠牲を出して終わりました。飢餓と病気に苦しめられた前線では、現地の司令官が総司令官であるM中将に反旗を翻し、独断で撤退を指示しました。これは当時の日本軍では考えられないことでした。撤退に怒ったM中将は、この司令官を罷免します。軍が撤退した道は、兵士の死体が累々と残されたため「白骨街道」と呼ばれました。

M中将は勇猛果敢で有名でした。実績もありました。しかし、現地からの悲惨な報告を、M中将は「泣き事を言うな」と握りつぶし、部下たちに実行不可能な命令を出し続けました。

これは昔の問題と片付けることはできません。現在の企業や組織にも似たような問題が見られることがあります。かつての実績にあぐらをかき、状況の変化を軽視して、現場にばかり負担を押し付けるような人がいるとすれば、そのような人には要注意です。

これは高慢の一つの表れと見ることもできます。聖書はこのように語っています。「なぜなら、だれでも自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるからです。」(ルカ14:11)

M中将は前線から帰ってきた部下たちに尊大な態度で接し、作戦の失敗を部下のせいにしましたが、敗残の兵たちはM中将への軽蔑を隠そうとはしませんでした。

大きな失敗を招く前に、自らを省みる必要があることを、この聖書の言葉は教えています。


(2014年 通巻181号)

 
 
 

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