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「言葉の持つ力」



 先月、あるタレントのSNS上での発言が世間を賑わせました。本人は冗談のつもりで言葉を発信したかもしれませんが、その内容は相手を傷つけ、冗談では済まされないこととして炎上する事態に発展しました。そして、そのタレントは芸能活動を休止するまでに至りました。


 私たちが普段何気なく口にする言葉は、使い方を間違えると周りの人を攻撃する武器となり、暴力と化します。パリオリンピックでは、活躍した選手に称賛の言葉がかけられる一方、良い成績を残せなかった選手への誹謗中傷もまた数多く投げかけられました。今のネット社会は気楽に気兼ねなく自分の言葉を発信できる良さがあるものの、素性を隠した状態で相手を口撃することが簡単にできてしまいます。全く関わりのない相手であっても、言葉一つで相手を悲しませ、時には命を奪うことすらできるのです。言葉の持つ力は私たちの想像を超えると言えるでしょう。


 職場や身近なところではどうでしょうか。そこでの人間関係の難しさも言葉遣いから、きていることもあるでしょう。つい発してしまった嫌味や悪口が職場の雰囲気を悪くし、人間関係を破壊していくケースも少なくないのです。


 何千年も前に書かれた聖書には、言葉の持つ力について多くのことが語られています。その中の一つにこのような言葉があります。


 「自分の口を見張る者はたましいを守る。唇を大きく開く者には滅びが来る。」                                (箴言13章3節)


 自分の口を制御できる人は、ことばで失敗をすることはありません。もし制御できないなら、失敗を犯し身に滅びを招くことを警告しています。あなたが普段口にしている言葉であなたの人生は大きく変わるということです。


 「親切なことばは蜂蜜。たましいに甘く、骨を健やかにする。」

    (同16章24節)


 もし、あなたの言葉が親切で正しい言葉であるなら、その言葉によって相手を励まし、力を与えることにもなります。そしてそのような言葉は私たちの心から生まれてきます。自分のことしか考えていないときは口から出てくる言葉も攻撃的になります。人を思いやる心、愛する心、配慮の心をもって口に出す言葉に気を付けていきたいものです。


(2024年  通巻477号)

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