約4年前に日本で公開された「ヤコブへの手紙」という映画があります。この映画には盲目のヤコブという牧師が登場します。
ヤコブ牧師のところには、さまざまな悩みを持った人々からの手紙が送られてきます。ヤコブ牧師は毎日届く手紙を楽しみにし、丁寧に返事を書き、人々もまた牧師からの返事を心のよりどころとしていました。
ところが、ある事件をきっかけに、人々からの手紙がぷっつりと途絶えてしまいます。ヤコブ牧師は手紙が届かないことに落ち込み、次第に憔悴(しょうすい)していきます。そのような中で、ヤコブ牧師は、今まで自分は神様の役に立っていると思ってきたが、実は自分がその奉仕に支えられてきたことに気づきます。
似たようなことは、私たちの周りでも起こっています。自分の仕事は大切な仕事で、人の役に立っていると思っていたら、実は自分が仕事に支えられていたり、自分にとって大切な訓練の場となっているということがあります。
仕事上で大きなトラブルを抱えた。上司や部下との関係がうまくいかない。願ったポストに就けなかった・・・。大なり小なり仕事に困難はつきものだと思います。逆境の時だからこそ悟ることのできる自分の本当の姿があります。順風の時には分からなかった大切なことに気づかされることもあります。
それは、必ずしも自分の願った人生ではないかも知れません。しかし、神様は私たちが本当の意味で幸せな人生を歩むための計画を、一人ひとりに対して持っておられると聖書は教えています。
逆境と思われる時に、静かに自分を省みて、その機会を貴重な訓練の機会としてその後の人生に生かすことのできる人は幸いだと思います。
「順境の日には喜び、逆境の日には反省せよ。」(伝道者の書7:14)
(2015年 通巻207号)
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