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地上では旅人

 「月日は百代(はくたい)の過客(くわかく)にして、行きかふ年もまた旅人なり。」松尾芭蕉「おくの細道」の有名な冒頭です。

 夏が終わりましたが、皆さんの職場で夏休みは取れましたでしょうか。私の職場では一人一人休む時期をずらして、夏休みを取りました。それでこの夏、実家の埼玉に帰省できました。「おくの細道」の旅で、芭蕉一行が、江戸を出発して1日目に泊まった町が、私の生まれ故郷です。今回、実家の回りを散歩していて、芭蕉が泊まったと言う、お寺を見つけました。芭蕉はその後、東北各地を旅し、北陸へ出て、約5ヶ月かけて、岐阜県の大垣に到着しました。そして、5年をかけて清書をし、「おくの細道」を完成させます。しかしその後、病にかかり、旅先の大阪で亡くなりました。死を目前にしても、新たな旅を夢見て、「旅に病んで 夢は枯野を かけめぐる」という句を詠んだと言われています(NHKおはなしのくにクラシック)。

 新約聖書の中で、地上での生涯を旅に例えている箇所があります。「これらの人たちはみな、信仰の人として死にました。約束のものを手に入れることはありませんでしたが、はるか遠くにそれを見て喜び迎え、地上では旅人であり、寄留者であることを告白していました。そのように言っている人たちは、自分の故郷を求めていることを明らかにしています。もし彼らが思っていたのが、出て来た故郷だったなら、帰る機会はあったでしょう。しかし実際には、彼らが憧れていたのは、もっと良い故郷、すなわち天の故郷でした。」(ヘブル人への手紙11章13-16節)「これらの人たち」とは旧約聖書に出てくる信仰者たちのことです。神様から言葉をもらって、生まれ故郷を出て、神様が約束された地に向かいました。私も故郷の町を離れ、今、札幌で暮らしていますが、札幌が第2の故郷になっています。今回、帰省して、生まれ故郷の町を歩くことができましたが、さらに天の故郷のことを思い、憧れました。

 「あなたのおきては 私の旅の家で 私の歌となりました。」(詩篇119章54節)と旧約聖書の詩人はうたいました。「あなたのおきて」とは、神様の言葉(聖書)のことです。聖書が、人生という旅の中で、自分の歌となったという告白です。芭蕉は旅のさなかにたくさんの俳句を詠いましたが、私たちはどんな歌をうたうのでしょうか。皆さんもぜひ聖書を手に取ってみてください。


##2018年通巻330号


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