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地震による暗闇と自分の中にある闇

 9月6日に北海道胆振東部地震が発生しました。筆者の住む札幌市も強い揺れに襲われ、筆者も非常参集要員として職場に向かいました。信号が延々と止まった暗い街。コンビニに並ぶ人の列。交通機関が止まり道路を歩く多くの人々。途中で見たのは、今までテレビの中の出来事としてしか考えていなかった光景でした。

 地震への備えはしていたつもりでしたが、いざ自分の身に起きてみると、未経験のことが多く大変とまどいました。停電、断水、食糧不足、地震による直接の被害など、それぞれが困難に遭われたことと思います。今も余震は続き、安心はできません。今回の貴重な経験を今後に生かしたいと思います。

 今回の地震での問題の一つにデマの拡散が上げられると思います。そのような情報に、不安を覚えた方々も多かったのではないでしょうか。

 大規模災害の際のデマの拡散は、過去にも繰り返されています。有名なものとしては10万人以上の死者を出した関東大震災の例があります。震災の混乱の中で「朝鮮人が人々を襲っている」「放火している」などのデマが流布しました。その内容は時間とともに尾ひれがつき、いかにも事実のような具体的内容に変化していきました。不安にかられた住民は自警団を組織し、多数の朝鮮人を虐殺するという事件が起こりました。(注)事件の背景として、朝鮮人への差別意識などが上げられています。

 このようなことは現代では起きないと断言できるでしょうか。図らずも前回発行したパンフレットでは、人の心に潜む差別の問題が取り上げられました。今回の地震で発生したデマも、時間の経過とともに内容が変化し、いかにも本当らしい内容に、多くの問い合わせが寄せられました。私は問題の根は変わっていないと思うのです。

 聖書は変わらぬ人間の本性を警告しています。「彼らの足は血を流すのに早く、彼らの道には破壊と悲惨がある。」(ローマ3:15)

 昔のこととして片づけたり、自分には関係がないと考えるのではなく、自分の中にある暗闇に目を向けることも、災害への一つの備えだと思います。

(注)参考文献「関東大震災」吉村 昭著など


##2018年 通巻329号


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