皆さんはベアリングス銀行の話をご存知でしょうか。1990年代にイギリス女王の銀行であったベアリングス銀行のシンガポール事務所にはニック・リーソンというトレーダーがいました。1992年に一人で1千万ポンド(約 12億円)の利益を得たリーソンは、ベアリングス銀行のその年度の利益の10%を得たそうです。その後も、同じような成績を理事会から求められたリーソンはますます危険な投資をしました。ミスがしばしばありましたが、リーソンはそれを不正処理によって、隠そうとしました。ミスの穴埋めのためにさらに危険な投資をし、結局、損失は約8.6億ポンド(約1,380億円)になり、当時のベアリングス銀行の自己資本金を超過する莫大な額になりました。リーソンはシンガポールから逃げましたが、結局、捕まえられ、詐欺により収監されました。233年も続いたベアリングスは破産しました。この事件の公式報告書には、リーソンの投資が適切に監視されなかったことが事件の大きな原因としてあげられています。
先週のパンフレットで、人間一人ひとりには良いことが出来る潜在能力と同時に、その能力で悪いことをしてしまう傾向もあるということを考え、良いことが出来る潜在能力(神様から与えられた賜物)を生かすための職場の雰囲気やシステムを設けることの大切さを考えました。
その一方で、ベアリングス銀行の話を例にすると、人々の大きなミスを防止するようなシステムを設けることも大切です。聖書には、「事を隠すのは神の誉れ。事を探るのは王の誉れ。」(箴言25章2節)と書いてあります。「王」を「管理する人」に変えると現代に当てはまります。部下がしていることを把握することはふさわしいことです。あなたの職場で、それが適切にされているかどうかを考えてみてください。
また、ご自分の人間についての見方も考えてみてください。4週間に渡って人間は神様に造られたという事実から導き出される原則を考え、職場に適用してきました。他の適用もできます。例えば、人間が神様に造られたとしたら、一人ひとりにとって創造者である神様が定めるように生きることが一番良いということは当然です。そのように生きているかも確認してみてください。
(2011年 通巻 19号)
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