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「ベストセラーの壁」


 今年上半期、日本のベストセラー本は村上春樹氏の「街とその不確かな壁」(新潮社)でした。4月の発売後、筆者も札幌駅前の書店で早速購入しました。山積みにされた本がなくなっている様子がよく分かりました。「きみがぼくにその街を教えてくれた。」から始まる文章は読みやすく、あっという間に村上ワールドへ入ってしまいます。「街」の周りを取り囲む壁が何を意味しているのか、様々な解釈が可能な所に、村上文学の奥深さを感じました。


 一方、平成年間でのベストセラー本は、養老孟司氏の「バカの壁」(新潮社2003年発行)です。話が通じない時、情報を遮断しているものを、養老氏は「バカの壁」と名付けました。世界を見渡すと、社会の分断が進み、戦争が起こり、国境に高い壁が築かれている現実があります。読んでみて養老氏自身の持っている壁を感じつつ、筆者の中にもある先入観に気づかされました。


 そして、世界史上最大のベストセラー本は聖書です。聖書にも城壁のある町々が登場し、城壁に関わる物語がいくつか載っています。また新約聖書には以下のような記述があります。


 「実に、キリストこそ私たちの平和です。キリストは私たち二つのものを一つにし、ご自分の肉において、隔ての壁である敵意を打ち壊し、・・・」

 (エペソ人への手紙 2章14節)* 


 敵意が「隔ての壁」であるというのです。相手に敵意を持っていると、確かに壁ができてしまい、コミュニケーションが成り立ちません。私たちの周りにもなかなか話の通じない人がいて、どう接すればよいのか悩むことがあります。そんな時、平和をつくる秘訣を聖書に聞くことができます。


 初めは聖書を読むこと自体に壁を感じるかもしれません。しかしイエス・キリストがこの地上に来て、その壁を打ち壊してくれました。私たちに平和を伝えてくれました。様々な先入観を取り除き、一歩街へ足を踏み入れてみてください。そこには奥深い聖書ワールドが広がっています。


*聖書 新改訳2017©2017 新日本聖書刊行会


(2023年 通巻453号)

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