「新・帝国主義の時代に」
- Masato Ujiie
- 12 分前
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NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の再放送が昨年9月に始まり、この3月で終わりました。司馬遼太郎(1923-1996)の原作小説を実写化し、2009年から3年にわたって放映したものです。「まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている」という印象的な冒頭で始まる物語は、日露戦争までの明治時代を、四国松山出身の若者たちから見た視点で描いていきます。
筆者は以前、小説で読んでいましたが、今回、終盤の日露戦争の場面を実写ドラマで見て、より想像が膨らみました。巨大なロシア帝国と新興の大日本帝国が、満洲や日本海で戦いを繰り広げます。両国とも総力戦で疲弊し、アメリカ合衆国の仲介でポーツマス条約(1905)を結んで終戦を迎えました。力によって世界を植民地で分割する、帝国主義の時代でした。現在のロシア・ウクライナ戦争を思い起こさせます。アメリカの覇権が弱まり、新たな帝国主義の時代になっているように見えます。
旧約聖書の中に『イザヤ書』という書物があります。紀元前8世紀、アッシリア帝国という超大国に圧迫されていた小国・イスラエルの人々に向かって、イザヤという預言者(神の言葉を預かる者)が語ります。主なる神からの励ましのメッセージです。
「見よ。国々は手桶(ておけ)の一しずく、秤(はかり)の上のごみのように見なされる。見よ。主は島々をちりのように取り上げる。・・・すべての国々も主の前では無いに等しく、主には、空しく何もないものと見なされる。」
(イザヤ書 40章15,17節)*
この後、アッシリア帝国はバビロニア帝国によって滅ぼされ、さらにペルシア帝国やローマ帝国へと覇権は移っていきます。巨大に見える国々も、歴史を支配する神の視点に立つと、ごみのように見なされるということでしょう。日露戦争に辛うじて勝った日本も、太平洋戦争で敗れ、現在の体制につながっていきます。今年、戦後80年、昭和100年、日露戦争後120年を迎え、時代は転換点に差しかかっています。しかし時代は変わっても、変わらない聖書の言葉に目を向けてみてください。新たな視点が与えられます。
*聖書 新改訳2017©2017 新日本聖書刊行会
(2025年 通巻492号)
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