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他人と比較ばかりしていいの?

 

 「あの後輩は仕事能力に欠ける!」と言って怒っている人。「なんであいつばかり、注目されるんだ!」とねたんでいる人。このほか、様々なことで他人と比較して判断をしている人・・意外と多いのではないでしょうか?今回は、「他人と比較する」ということを考えてみたいと思います。

 昨年、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授が、最近注目されている「行動経済学」という学問でノーベル賞を受賞しました。「行動経済学」は経済学と心理学の中間的学問で、合理的とは言えない、人間の行動を研究する学問です。その行動経済学の理論の1つに「参照点依存性」というものがあります。例えば、夏に1玉150円で売られていたキャベツが、秋に200円になると200円は高いと思います。しかし、冬に300円で売られていたキャベツが、春に200円になると、同じ200円なのに、とても安く感じるのです。また、ある大型ショッピングセンターでは、入り口付近で高価なテレビや時計、貴金属を販売しています。これは、高価な商品の金額を見ることで、これが基準となって、奥に売られている商品を安く感じる効果を狙ったものなのです。このように、人間が自分以外のものの価値を判断する基準はあいまいで、いつも変わってしまうのです。そのような人間が、他人と自分を比較して、どちらが優れているかを正確に判断することは困難です。

 後輩の仕事に対する能力より、自分の能力の方が上だと判断している人。でも、それは自分の得意分野だけで判断しているだけであって、後輩が優れているところを見ていないからかもしれません。逆に同僚の働きをねたんでいる人も、周りから見ると、その人自身はよくやっていると思われているかもしれません。あいまいな基準の中で、怒ったり、ねたんだり・・これってもったいないですね。


 「彼らは自分たちの間で自分自身を量ったり、互いを比較し合ったりしていますが、愚かなことです。」(Ⅱコリント 10:12)


 あいまいな基準で他人を比較するのではなく、かえって相手を思いやることが必要ではないでしょうか。


#(2018年 通巻331号)

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