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「愚痴だけでいいのですか?」

  • 執筆者の写真: Masato Ujiie
    Masato Ujiie
  • 8月20日
  • 読了時間: 2分

 2012年、アメリカの宇宙機関NASAの会議で、あるプロジェクトのチームリーダーがこう宣言しました。「愚痴を言うだけではだめです。必ず解決策も一緒に出してください」この方針は、NASAが大切にしている

「No Complaints Without Solutions(解決策のない不満は却下)」という文化に基づいています。ルールの導入後、会議の雰囲気は大きく変化しました。それまで目立っていた技術的課題への不満や責任の押し付け合いが、次第に「どうすればこの問題を解決できるか」という前向きな議論へと変わっていったのです。その結果、プロジェクトの進行速度は加速し、チームのモチベーションも向上。NASA内部でも「最も効率の良いチーム」として高く評価されるようになりました。


 愚痴は、単なる不満ではなく、思考力や創造力を奪ってしまう可能性があります。ノースカロライナ大学チャペルヒル校の行動科学研究所が2024年に行った調査によれば、愚痴を言う人がいるだけで、周囲のメンバーの集中力は平均で31%も低下するという結果が出ています。さらに、そうした環境下ではクリエイティブなアイデアの提案数も約40%減少する傾向があることが明らかになりました。つまり、愚痴はまるで「思考力をむしばむウイルス」のような存在なのです。


 このことは、聖書のある一節とも通じています。

 「兄弟たち、互いに悪口を言い合ってはいけません…隣人をさばくあなたは、いったい何者ですか」(ヤコブの手紙 4:11~12)新改訳2017


 このことばは、自分の態度や発言を省みること、そして他人を批判する前にまず自分自身を見つめ直すことの大切さを教えてくれます。


 誰しも、仕事や日常生活の中で愚痴を言いたくなる瞬間があります。しかし、不満の原因を冷静に分析し、「自分は何を求めているのか」「この状況をどう改善できるか」と自問することで、愚痴は建設的な提案へと姿を変える可能性を秘めています。愚痴をこぼすだけでなく、ぜひ解決策も一緒に考えてみてはいかがでしょうか。


(2025年  通巻497号)

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