「キングダムの世界・再考」
今夏、映画館で「キングダム」シリーズの5作目を観ました。原作漫
画は今も連載中で、NHKでのアニメ化も続いています*。時は紀元前
3 世紀、七つの国が争う中国の戦国時代。後に秦(しん)の始皇帝となる
政(せい)は、「武力による中華統一で戦乱を終わらせる」という、壮大
な理想を掲げていました。その秦に対し、他の六国が連合して攻め込む
大戦が起こります。戦いの中で、主人公の信(しん)は、秦国に深い怨み
を抱く、趙(ちょう)国の武将・万極(まんごく)と一騎打ちになります。
かつて秦国との戦いで、趙国の大勢が生き埋めにされました。その悲
劇の生き残りこそが万極軍でした。万極は「人は出口なき闇で呪い合い
殺し合う」と語り、秦への復讐に身を投じます。戦争孤児として生ま
れ、親友を失った信も、万極と同じ闇に飲み込まれてしまう可能性があ
りました。しかし信には相棒の政を始め、闇から引き上げてくれる仲間
がいたのです。死闘の末、信が万極を倒す瞬間の言葉―「お前の痛み
は、俺が背負ってってやる」というセリフが、心に残りました。
皆さんの中にも、誰にも言えない痛みや、心の奥に闇を抱えた方がい
るかもしれません。自分はそこまで他人の痛みを背負えるのだろうかと
迷った時、旧約聖書の一節が思い浮かんできました。
「まことに、彼は私たちの病を負い、私たちの痛みを担った。」
「彼への懲らしめが私たちに平安をもたらし、その打ち傷のゆえに、私
たちは癒された。」(イザヤ書53 章4,5節) **
この「彼」とは、新約聖書で登場するイエス・キリストのことです。
イエスは十字架上で、私たちの罪と痛みを背負ったと聖書は語ります。
さらに、死から復活された後、「王の王、主の主」と呼ばれるようにな
りました。このイエスこそ私たちの闇を照らし、私たちを「世の光」と
してくださいます。そして悲しみも苦しみもない王国―真のキングダム
へと招いてくださるのです。
参照*通巻428号 **聖書 新改訳2017©2017 新日本聖書刊行会
(2026年 通巻521号)




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