「子どものように」
- Masato Ujiie

- 11月16日
- 読了時間: 2分
今年の9月いっぱいで、NHK朝ドラ「あんぱん」が半年の放送を終えました。「アンパンマン」で知られる、やなせたかし氏の、妻をモデルにした、のぶさんが主人公です。筆者の子どもがアンパンマンの大ファンだったこともあり、アンパンマンがヒットするまでの物語を興味深く見ました。
先の大戦で、すべての価値観がひっくり返った体験をもとに、「逆転しない正義」を求めて、やなせ氏はアンパンマンという、自分の顔を隣人に差し出して弱くなってしまう、ヒーローにたどり着きます。自分を犠牲にする姿は、当時の大人たちに受け入れられませんでした。それでも次第に子どもたちの間で人気を集め、幼稚園や保育園などからの絵本の注文が殺到するようになったといいます。
新約聖書には、人々が幼子たちをイエスのもとを訪れて、弟子たちに叱られる場面が出てきます。しかし、イエスは幼子たちを呼び寄せて、次のように言いました。
~子どもたちを、わたしのところに来させなさい。邪魔をしてはいけません。神の国はこのような者たちのものなのです。・・・子どものように神の国を受け入れる者でなければ、決してそこに入ることはできません。~ (ルカの福音書 18章16-17節)*
大人の目線で見ると、集まりの中で子どもが邪魔に感じることがあります。しかし子どもは無邪気に親を信頼します。お腹を空かせた人に食べ物を差し出すという、アンパンマンの正義は、素朴な子どもたちに受け入れられました。隣の人に小さな親切を与えることのできる「神の国」の喜びを、直感的に感じるのかもしれません。
仕事でうまくいかない時、無力さを感じる時、自分の価値を疑ってしまうことがあります。しかし何も出来ないように見える子どもを、イエスは受け入れました。赤ちゃんの笑顔に癒やされる経験が何度もあります。存在そのものが愛おしく、大切なのです。子どものように、素直に「神の国」を求めていきたいと思わされました。
*聖書 新改訳2017©2017 新日本聖書刊行会
(2025年 通巻503号)




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