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「西郷(せご)どんと聖書」


2018年のNHK大河ドラマは「西郷せごどん」でした。ご存知、西郷隆盛(1827-1877)が主人公です。その年の夏、私は出張で初めて鹿児島市を訪れました。明治維新150年という記念の年と重なって、町中、「西郷どん」一色でした。西郷が戦死した城山から眺めた、桜島の姿は圧巻でした。

鹿児島での西郷さん人気は、札幌で言えばクラーク博士人気のようなものでしょうか。そのクラーク博士が帰国した後、札幌農学校でクリスチャンになった内村鑑三(1861-1930)は、英語で「代表的日本人」という本を書きました。西欧諸国に日本を紹介するために書かれたこの本の中で、内村はまず西郷隆盛を紹介し、「敬天愛人」の言葉が西郷の人生観をよく要約しています、と書いています。「敬天愛人」――それは、天を敬い、人を愛する、という意味ですが、「天」とは何を指すのでしょうか。

別の所で西郷は、「天はあらゆる人を同一に愛する。ゆえに我々も自分を愛するように人を愛さなければならない」とも語っています。これは西郷が学んできた、儒教の教えを超えた思想と言えます。このような思想を誰から学んだのでしょうか。

ある人から「すべての中で、どれが第一の戒めですか。」と尋ねられたイエス様は、次のように答えています。「第一の戒めはこれです。『聞け、イスラエルよ。主は私たちの神。主は唯一である。あなたは心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。』第二の戒めはこれです。『あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。』これらよりも重要な命令は、ほかにありません。」(マルコの福音書12章28-31節)

神を愛し、隣人を愛する――「敬天愛人」に通じるものがあります。最近の歴史研究によれば、西郷は漢訳(中国語)聖書を読んでいたのではないか、という説があります。そして「敬天愛人」という言葉を日本に紹介した中村正直(1832-1891)の影響を受けたと言われています。中村は後にクリスチャンになりました。明治という新しい時代、多くの外国人宣教師が来日し、聖書が日本語にも訳され、キリスト教が広まっていきました。そして多くの日本人の人生が変えられていきました。新しい年、皆さんもぜひ聖書を読んでみませんか。


#(2019年 通巻341号)

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