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「STAP細胞事件を思い出す」

 2014年に話題となったSTAP細胞事件を覚えておられるでしょうか。「STAP=Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency(刺激惹起性多能性獲得)細胞」とは、細胞の外から刺激を与えるだけで体細胞を初期化(受精卵に近い状態に逆戻りさせること)できた細胞のことです。2012年にノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大学教授の「iPS=induced Pluripotent Stem (人工多能性幹)細胞」を超える発見かもしれない、と話題になりました。

 しかし検証実験は成功せず、論文は不正と見なされ、STAP細胞はなかったという結論に至ります。一流科学雑誌に載った論文は撤回となり、自殺者も出て、科学史に残る一大スキャンダルになってしました。

 今回、科学教育への関心から、STAP論文筆頭著者の書いた本と、新聞記者の書いた本を読む機会がありました。2冊を読み比べてみて、双方の論点の違いに驚かされました。一方は夢のような理想を求める文章であるのに対し、他方は厳密な証拠を求める文章で、決して交わることのないように見えます。結局、捏造はあったのか、真実は何か、という問いは残されたままでした。理論と実践の違いとも言えるでしょうか。いくら素晴らしい仮説でも、実際に再現されなければ、認められません。科学論文の厳しさを思いますが、真実が明らかにされていく過程では必要な厳しさです。

 聖書には「隠れているもので、あらわにされないものはなく、秘められたもので知られないもの、明らかにされないものはありません。」(ルカの福音書8章17節)ということばがあります。神様はすべてお見通し、ということです。不正にデータを操作しても、いつかは明らかにされてしまうのです。厳粛な思いにさせられますが、日ごろの自分の仕事にも当てはまります。誰も見ていないからと言って、適当にごまかしていると、いつかひどい目に遭うことになります。

 その聖書のことば自体、これまで何千年もの歴史の批判に耐えて、残されてきたものです。聖書を批判して何とか誤りを見つけ出そうと躍起になっていた人が、逆に聖書の方から批判されて、その中にある真実に気づかされたという話があります。聖書のことばに撤回はありません。この移ろいやすい世の中で、変わらない聖書のことばにこそ、真実があります。皆さんもぜひ聖書を読んで、真実に触れてみてください。


#(2019年 通巻356号)

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