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「世界帝国の片隅で」


 クリスマスを迎え、今年2021年もあとわずかとなりました。この一年を振り返りますと、1月にアメリカでホワイトハウス占拠事件が起こり、世界中が騒然となりました。ナンバーワン国家であるアメリカの力が衰えてきて、世界がまた帝国主義の時代に向かっているのではないか、という指摘もあります。

 さて、アメリカが世界制覇を成し遂げた20世紀は、パクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)と言われることがあります。19世紀はイギリスが世界の覇権を握り、パクス・ブリタニカ(イギリスによる平和)と呼ばれました。「歴史は繰り返す」と言われますが、古代ローマ帝国が覇権を握った紀元1~2世紀頃は、パクス・ロマーナ(ローマによる平和)として知られています。「パクス」とは、ローマ神話に出てくる平和と秩序の女神のことです。


 このパクス・ロマーナ時代の初め、ローマ帝国の初代皇帝と見なされている人物が、アウグストゥスです。そして新約聖書のクリスマスの場面にも、アウグストゥスの名前が登場します。


 「そのころ、全世界の住民登録をせよとの勅令が、皇帝アウグストゥスから出た。・・・人々はみな登録のために、それぞれ自分の町に帰って行った。ヨセフも、ダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。」(ルカの福音書2章1、3-4節)


 ローマから見ると、東の果てに当たるユダヤ(現イスラエル)のベツレヘムで、イエス・キリストが生まれました。そしてイエスが育ったナザレという田舎町から、福音(ふくいん;よい知らせ)が始まります。厳しい迫害を受けながらも、やがて福音はローマ帝国全体に広まりました。その後、ローマ帝国は東西に分裂し、滅亡に向かいます。しかし「イエス・キリストの福音」は世界中に広まり続け、16世紀にはさらに東の果て、この日本にも伝えられました。


 華やかな世界帝国の片隅で、本当の平和をもたらすクリスマスの出来事が起こったのです。皆さんもこのクリスマスに「キリストのよい知らせ」という、素晴らしいプレゼントを受け取ってみてはいかがでしょうか。


 (2021年 通巻415号)


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