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「受けるよりも与えるほうが幸い」


 オリピックの陰に隠れながらも、8月はやはり先の戦争を振り返る報道が多く見られました。

 戦争体験者が高齢化する中で、証言を語り継ぐ努力が続けられています。中でも多く見られるのが、当時の国民の窮乏生活に関する証言です。

 戦争に莫大な資源が投入され、国民に厳しい窮乏生活を強いる中で、国全体としては大きな無駄があったと言われています。NHKが編集した「日米開戦 勝算なし」という文献の中に、当時の国の物資動員計画を立案していた軍人の証言に基づいた以下の記述があります。

 「原因は陸海軍の対立であった。例えば中島飛行機工場では陸軍と海軍双方の飛行機を作っていたが、建物は全く別々であった。・・・工作機械などうまく融通すれば一台でまかなえるものでも、必ず陸海軍それぞれに一台ずつ必要とされた。」

 当時の行政査察では、無駄をはぶけば年間5万機の飛行機が生産できるとされましたが、実態は最盛期でも2万8000機しか生産できませんでした。原因は陸海軍の対立、つまり日本人同士の不毛の争いにあったことが指摘されています。

 残念ながら、現代の私たちの周囲でも、組織の中での対立、争い、足の引っ張り合いといったことはよく見られます。国の総力を挙げた戦争の中に、その国の本質というものが現れやすいとするならば、それは現在の私たちにとっても無縁ではありません。一方、昔からあって、常に新しいことを教える聖書に以下の記述があります。

 「・・・主イエスご自身が『受けるよりも与えるほうが幸いである』と言われたみことばを、覚えているべきだということを、私はあらゆることを通してあなたがたに示してきたのです。」(使徒20:35)

 私たちは対立や敵意といった良くない感情にとらわれやすい者です。こういった姿勢の対極にあるのは「自己犠牲」と言えるのではないでしょうか。イエス・キリストは、そのような私たちのためにご自分の命を犠牲にするといった究極の自己犠牲を示されました。

 対立や敵意といった感情に埋没しないために、イエス・キリストの姿勢を見上げ、また思い起こすことは大切だと思います。

 #(2021年 通巻408号)

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